・コンビニ受診って?
・救急車がタクシー代わり?
・お医者さんがいなくなる?
・赤ちゃんが産めなくなる?
・地域医療が崩壊する?
こんな言葉を皆さんも耳にしたことがありませんか?これらはみな,地域の医療を取り巻く現状を表す言葉です。どういうことなのでしょうか。
地域医療の現状
茨城県の医師数は,全国ワースト2位で,全国平均を大きく下回っているという報道を耳にしたことがあると思います。医師不足は全国的にも深刻な問題で,国では医学部定員を増やすなど,医師数の増加に取り組んでもいます。 そんな全国的にも医師が不足している中,茨城県では全国平均より64人も少ない状況で,かなり深刻な問題のようにも見受けられます。実際に平成22年に厚生労働省が発表した平均寿命の都道府県別ランキングを見ると,茨城県は47都道府県中,男性で36位,女性で44位とかなり下位にいます。ただし,65歳以上の平均健康余命を見ると,男性は18.6年,女性は26年で共に全国3位となっており,必ずしも医師の数が私たちの健康と比例しているものではないようです。
でも,休日や夜間,急な病気やケガをした時,病院に医師が不在で治療が受けられない,なんて事になったら心配です。そこで,茨城県央地域(定住自立圏)の病院数や医師数を見てみましょう。
区分 | 一般病院数(所) |
一般診療所数(所) |
医師数 (人) |
小児科 (人) |
産婦人科 (人) |
内科 (人) |
外科 (人) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 5.8 | 80.0 | 240.1 | 13.3 | 8.6 | 47.9 | 11.4 |
茨城県 | 5.4 | 59.0 | 180.2 | 9.8 | 7.2 | 33.1 | 7.9 |
水戸市 | 9.2 | 85.2 | 256.0 | 21.4 | 15.5 | 51.7 | 11.8 |
笠間市 | 5.3 | 48.6 | 275.7 | 3.9 | 13.1 | 34.1 | 9.2 |
小美玉市 | 7.9 | 39.6 | 65.3 | 2.0 | 0.0 | 23.7 | 0.0 |
茨城町 | 6.1 | 45.9 | 345.9 | 3.1 | 0.0 | 15.3 | 39.8 |
大洗町 | 6.0 | 65.8 | 89.8 | 0.0 | 0.0 | 41.9 | 6.0 |
城里町 | 5.1 | 36.0 | 41.1 | 0.0 | 0.0 | 20.6 | 0.0 |
那珂市 | 5.5 | 57.3 | 99.8 | 1.8 | 0.0 | 33.3 | 5.5 |
ひたちなか市 | 3.8 | 56.5 | 121.2 | 6.4 | 8.3 | 21.8 | 7.7 |
東海村 | 5.3 | 45.1 | 108.8 | 15.9 | 0.0 | 23.9 | 8.0 |
出展 : 「茨城県医療施設調査・病院報告」茨城県
「医師・歯科医師・薬剤師調査」厚生労働省
「茨城県医師・歯科医師・薬剤師調査」茨城県
※病院数は,平成28年10月1日現在,医師数は平成28年12月31日現在の数字。
小美玉市は,一般病院数のみ全国平均より上回っていますが,他は全て全国平均,茨城県平均を下回っています。特に医師数については,全国平均よりも170人強,茨城県平均よりも110人強,少ない状況です。小児科医,産科医に関しては極端に少なく,特に産婦人科では,他市町村の医療機関に頼らざるを得ない状況にあると言えます。県央地域(定住自立圏)においては,大きな公的病院がある水戸市や笠間市,茨城町については医師数が全国平均を上回っているものの,当地域全体としては,全国よりも少ない事が分かります。
また,全国的に医師の診療科偏在が問題となっていますが,県央地域(定住自立圏)においても小児科の医師数が全国平均を下回るなど,医師の地域偏在,診療科偏在などにより,地域住民の健康を守り,地域で安心して毎日の生活を送ることができる医療環境が整っていない状況にあると言われています。小美玉市の場合,小児科では風邪や軽傷などは近所のクリニックで診てもらえますが,比較的重い病気やけがなどした場合,水戸市や茨城町,土浦市や石岡市などの他市町村の病院に行かなければならず,産婦人科(特に産科)になると市内に医療機関がないので,全て他市町村の医療機関に頼っている状況にあります。
ご覧のように県央地域(定住自立圏)においても,医師はかなり不足しており,今いる医師でその不足を補っているため,その負担が急激に増加する事態(勤務時間が長い,休みが取れない等)となっています。