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フィールドの危険! のぺーじ

虫さがしのときに気を付けるべき危険や注意事項を紹介します。

 

虫の中には、咬んだり刺したりして人に被害を及ぼす種がいます。

中には、非常に危険な毒や病原体を持つものもいます。

事前に知っておき、十分に気をつけるとともに、いざという時には適切な対処ができるよう備えておきましょう。

 

注意すべき生き物たち

刺されると怖い虫には、ハチ、ブユ、マダニ、サシガメ(肉食のカメムシの仲間)などがいます。

意外かもしれませんがマツモムシなど水生昆虫にも刺すものがいて、刺されるととても痛いです。

 

ハチや、ブユ・カなどは、毒も持っています。

スズメバチは、アナフィラキシーを起こすと命に関わります。

春のうちはおとなしいですが、秋の時期女王養育期になるにつれ攻撃的になります。

スズメバチは基本的に子どもを守るため、もしくは自分の身を守るために刺すので、こちらから手を出したり巣に近づいたりしない限りは襲ってきません。

とくに黒くて動くものに攻撃的になることが知られているので、夏~秋に林に入る際などは、明るい色の服装がオススメです。

 

カやブユ、ヌカカなどは、痒みが厄介です。

刺された時には痛みもなく気づきにくいのですが、しばらくすると激しい痒みに襲われます。

とくにブユやヌカカは炎症が強く長引きます。

 

特に危険なのが、マダニやツツガムシなど、噛むついでに病原体を媒介する虫です。

これらは命に関わることがあります。

刺された時には痛みなどがありません。刺されているのに気づいたら、自分で取ろうとせず、なるべく早く皮膚科の病院に行くのがオススメです。

生息地である草むらや藪に入る際は、少しでも肌に付かれにくいよう肌を露出しない服装で対策してください。

足元は長靴がオススメです。白っぽい着衣だと、飛び付かれた際に早めに気づきやすいです。

 

また、一部のガの仲間の幼虫には、体表に毒針毛が生えています。

針に触るとひどくかぶれ、痛みや痒みに悩まされます。針だけが着衣や布団などに付いて残っていることもあります。

 

噛まれると痛い虫は、さらにたくさんいます。肉食の虫は、ほとんどが噛むと思ってください。

カマキリやアリ、クモ、ムカデなどが代表的な噛む虫です。トンボやツノトンボも噛みます。

これらの中では、クモやムカデが、毒を持つ虫です。

 

虫以外に気をつけなくてはならないのが、ヘビです。

特にマムシは、危険を感じた際、逃げずにじっと潜む習性なため、気づかずに踏んでしまうことがあります。

ヤマカガシ、アオダイショウやシマヘビなども出会いがちなヘビで、咬傷事故の可能性があります。

このうち、オレンジ色の斑紋が目立つ個体の多いヤマカガシは、奥歯に毒牙があります。

奥歯までガッツリ咬まれることは滅多にありませんが、比較的気性が荒い個体もいるので、近づかないように気をつけましょう。

 

他に、近年は、小美玉市内でも、サル、イノシシ、アライグマといった、人を襲う可能性のある獣の目撃情報も増えてきています。

見かけた際には決して近づかず、目を合わせず、背を向けず、なるべく静かにその場を離れるようにしましょう。

 

以上の中でも特に注意が必要なものを、いくつかもう少し詳しくご紹介しておきます。

詳しくは、それぞれの種名でネット検索をするなどして、ぜひ調べてみてください。

 

マダニ

屋内の布団などにいて獲物の体液を吸うタイプと同じダニの仲間だが、マダニは屋外のみに生息し獲物の血液を吸う。

大きさもかなり違い、マダニは元々の大きさが2mm前後もあるので、肉眼でも姿かたちを確認できる。

 

自然豊かな草むらに潜んでいて、近くを通りがかる獣に飛び移ったりよじ登ったりして、皮膚に口器を刺し込み吸血する。

時間をかけて吸血するため、1~2週間ほど獲物の体に吸い付いたままの状態で、吸血が進むに従い徐々に膨らんでいく。

満腹になる頃には直径1cmほどにもなり、パンパンに膨らんだ腹の部分は吸った血の色が透けて、獲物の体に赤黒色の豆がくっ付いているような見た目になる。

刺されても痛みや痒み腫れなどがほとんどないため、吸血で大きく膨らんでから、見たり触ったりして異変に気づかれることが多い。

 

公園などで散歩の犬や野良猫が被害に遭うこともある。犬や猫では、皮膚が露出する耳の周辺によく付いている。

吸血の際、重篤になりえるさまざまな病原体を媒介する。

中には重症化すると死に至る致死性の高い病もあるので、服装や虫除け薬などで刺されないよう対策が必要である。

なるべく草むらで立ち止まったり座ったりしないよう気をつけ、休憩時や活動後には、付かれていないか目視で確認したり衣類表面を払ったりすることを習慣にすると良い。

白っぽい靴や衣類だと、肌に移動して刺される前に見つけやすい。

 

刺されてしまった場合、引っ搔いたり手で取ろうとしたりすると、刺さった口器や頭部がもげて皮膚の中に残ってしまうことが多く、こうなると皮膚を切開して取り出してもらわなくてはならなくなる。

また、むやみに触ると、マダニの体を押してしまい結果的に病原体を注入してしまうこともあるので、自分で処理しようとせず、刺されたままの状態で、なるべく早く皮膚科の専門医を受診するのが最善の対処法である。

 

また、自然に取れたとしても、刺された自覚や可能性がある場合には、念のため医療機関を受診しておくのが良い。

フィールド活動後、マダニ咬症の可能性がある状況で、皮膚に紅斑が出たり発熱や体調不良の異変があったりする場合は、早急に医療機関で医師にその旨を伝え診察を受ける必要がある。

 

ツツガムシ

マダニと同様、ダニの仲間であり、屋外の自然豊かな山間部や河川敷などの地際に生息していて、幼虫の一時期、同じように近くを通りがかった獣に乗り移り、口器を皮膚に刺し入れて体液を吸う。

こちらは獣に付くときの大きさがようやく肉眼で確認できる程度、1mmに満たないサイズであり、オレンジ色で少し細長い楕円型の粒に見える。

 

ゆっくり組織を溶かしながら体液を吸い上げるため、かかる期間は数日程度、マダニほど体が膨れるわけではないが、頭部を獲物の肌に食い込ませるようにして吸い付いている様子は、マダニによく似ている。

 

主に初夏や秋の時期に被害が出る。

生息数が多い場所では、じっと立ち止まっていると、たくさんの個体が靴から這い上がってくる様子を確認できることもあるらしい。

 

体液を吸う際に病原体を媒介することも同様で、対処方法も同じである。

ツツガムシも、咬まれた時には痛みや痒みを感じにくいが、しばらくすると、咬まれた箇所が大きな特徴的なカサブタになる。

運悪く病原体を持ったツツガムシに咬まれた場合、咬まれて1週間ほど経った頃から、全身に紅斑が見られ、諸々の体調不良が現れる。

 

ツツガムシ病も、場合によっては命に関わる疾患である。

 

 

⚠スズメバチ・アシナガバチ等

刺すハチの中でもとくに体が大きく攻撃性も高い。

針が太くて痛みが強いだけでなく、毒によるアナフィラキシーを起こすと命に関わることもある。

中でもオオスズメバチやキイロスズメバチの被害が大きい。

 

女王バチは単独で春に活動を開始し、巣を作り働きバチを育て始めるが、この時期はまだ被害は滅多にない。

初夏の頃から働きバチが成虫になって活動し始めるが、攻撃するのは巣を守るためなので、巣に近づかなければ襲われることはない。

秋には翌年の女王を守り育てるため、非常に攻撃性が増す。秋に生まれたこの新女王が、成虫に育ってから冬眠し、翌年の春にまた活動を始める。

 

スズメバチの場合、巣に近づくと、働きバチたちが警戒して巣から出てきて、敵の周辺を飛びながらアゴをカチカチ鳴らすので、その威嚇音に気づいたら、ただちに巣の方向を見定めて巣から離れる必要がある。

クマを最大の敵と認識しているらしく、黒い服を着て動いていると特に攻撃対象にされやすいと言われる。

 

キイロスズメバチは人家の軒下など雨の影響を受けにくい高い場所に営巣することが多いので、巣を見つけやすいが、オオスズメバチは自然豊かな環境の枯れ木のウロや地中に巣を作るので、巣の位置を把握するのが難しい。

 

アシナガバチは、木々の枝など人の背丈前後の高さに巣を作ることが多いので、林などを歩いていると誤って巣にぶつかったり蹴ったりしてしまうことがある。

先頭の人が巣に触れてしまい、その人が通り過ぎたあとに2番目3番目を歩いている人が襲われるケースもよくある。

 

長袖長ズボンでも、肌にピッタリしたアームカバーやレギンスなどでは、毒針が布地の上から肌まで貫通してしまうので、多少ゆとりのある服装の方が刺されにくい。

 

 

⚠マムシ

体は茶色っぽくクサリ状の模様があります。

ヘビにしては短く太い体型で、頭が三角形に近い形をしていることも特徴です。

 

臆病な性質で、向こうから襲ってくることはまずありませんが、敵が近づいても逃げずにじっと潜んでいるタイプため、気づかずに踏んでしまって噛みつかれる事故がよく起こります。

 

毒牙は細く繊細なため、長靴を履いていれば被害を受けにくいです。

 

 

その他の注意

フィールドには、足場の悪いところがあります。ぬかるんだ地面や石などが濡れてすべりやすくなっていたり、水たまりや側溝が草に埋もれていたりします。

足元に注意し、ケガのないように移動してください。

 

水の近くは要注意です。ため池などは大変危険ですので、けして入ってはいけません。

 

虫探しの活動をするとき、うっかり道路に飛び出したり、つい高い所に上ってしまったりすると、大変危険です。

事故のないよう注意を怠らずに楽しみましょう。

また、断りなく余所の方のお庭、田んぼや畑、駐車場などの土地に入ってしまうことがないようにしましょう。

空港など立ち入りが禁止された場所もありますので、気をつけてください。

 

それと、もうひとつ、とても大切なお願いがあります。

虫を捕まえた場合、それを放すとしたら、なるべく日(時間)を置かず、必ず元の場所にしてください

昨今、外来種という言葉が広く知られるようになりました。

本来その場所にいなかった種を野生に放してしまうと、もともとのその地域の自然のバランスを崩してしまい、けして元には戻せなくなってしまいます。これは、外国からの持ち込みに限ったことではなく、国内の他の地域からの持ち込みも、同様の問題があります。

例えば、ここにはいないキレイなチョウやカッコいいクワガタが住み着いてくれたら嬉しいからと、よその地域から連れてきて放してしまい、その地域に定着してしまったケースがあります。

侵略性が高くないからといって、問題ないとは言い切れません。

長期的に見れば、あるいは細かく見れば、または間接的には、影響がないということはありえません。

さらには、例えば、昔はいたホタルがいなくなってしまって残念だから、同じ種ならいいだろうと離れた場所から取ってきて放すケースもあります。

西日本と東日本で同じゲンジボタルでも光り方が違うことはよく知られていますが、そのように、同じ種であっても、遺伝子などのレベルでは地域ごとに地域ならではの特徴を備えてきているものであり、それを人の手によって攪乱してしまうことには、やはり問題があると、現代では考えられるようになってきています。

 

また、いったん人の元で飼育した個体を自然に戻すことは、自然へのさまざまな悪影響のリスクがあります。

その生物に自然の中で生きる力がなくなってしまっていること、人工的な飼育環境での病気や薬品の影響などを自然の中にもたらしてしまうかもしれないこと、などが挙げられます。

かわいそうだから…と逃がしてあげたくなる気持ちもわかりますが、それは、けして、その生物のためにも、自然のためにも、ならないと言えます。

 

捕まえた虫を放す場合は、必ず元の場所にしてください。虫を飼う場合は、飼うなら飼うと決めて、最後まで責任をもってお世話し、けして自然に戻さないでください。 

 


掲載日 令和6年2月28日
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